2002年11月2日 フロム主催 日韓大会国内予選(一日目)

 

AC大会の中でも特に別格である本大会。全国のレイヴンが注目しているし、勝てれば日本代表というハクが付く。自分が今まで経験した大会の中で最大のタイトル戦だった。

 

 

レギュレーション

難易度ノーマル

禁止武器 強化OP ステルス

64人(二日で計128人)による一本先取のトーナメント

両日の上位2名が韓国行きのチケットを手に入れられることが出来る。

1回戦 アリーナ

2回戦 砂漠

3回戦 ダム

4回戦 廃工場

準決勝、決勝は当日発表。

 

参加者の多くは事前に招待状が届けられたランカーで、また会場が東京・秋葉原のみと限定されていたため、全国各地の強豪がずらりとそろうことに。

会場前でうろついていると、長身の男が近寄ってくる。正体はアビシニアン氏であると判明。氏とは以前「第三回新ルール試行大会」で戦ったことがあるのに、顔を忘れてしまっていたのだった。逆にアビシニアン氏はしっかりと自分の顔を覚えていてくれていた。すんごい嬉しかったです。ただ、開口一番「あのデコイの裏切りの!」と。(詳細は本人のレポートを確認のこと)そんな覚え方だったんですか(涙)。

 

 

使用アセン

 

 

スカイアイ STO CASK SRVT 80実スナ デコイ

 

火器が実スナのみという非常にシンプルな機体。以前からスナイパーライフルを使用したかったし、今回はノーマル+ステージ限定ということで安心して使っていける。

機体のコンセプトは「実スナを最大限に生かすように闘う」というもの。

まず実スナを使用するということが前提にあり、中距離をひたすら保ち続けるように立ち回ることが重要。この距離ならば実スナ以外は全て有効射程外となるので、それ以外の火器は搭載していない。武装のメタは実スナ、大グレを想定。動けて、実弾防御の高いということからSRVTをフレームの基礎とする。武装を必要最小限に絞ってあるので、腕をCASKにし、初期APに勝つ。これで実弾防御特化フレームが出来て、たとえ中距離で実スナが掠っても大したダメージにならない。また武装が実スナオンリーということで、デコイも出しやすくなり、STOの迎撃も併せて敵ミサイルをほぼ無力化することが出来る。E兵器が怖かったが、自分は広所をOBでひたすら逃げるので、相手は射撃分だけのジェネがないだろうと踏み切った。

 

弱点としては、絶対的な火力不足。いかに実スナを無駄なく命中させるかが課題となるので、大会前日までCOM相手に猛特訓した。

 

 

 

一回戦 相手不明 (重2? 1000マシ 両肩ミサイル)

 

対人戦慣れしていない人らしく、有効射程外からミサイルをばら撒いてくる。こちらは落ち着いてデコイ処理。こりゃ勝てるとはやくも余裕が出てくる。

のだが、途中通信エラーで中断、再開される。

その後もう一回通信エラーが出る。そりゃねーよ!
いい加減嫌になってきたのだが、相手はそれでも同じ機体をだしてやってくる。相手は1000マシで前進、こちらは実スナで引き撃ち。安定して勝利。

 

 

2回戦 Genesis氏 (中二 強ショ 垂直ミサ 初期ブレ)

 

二回戦にしてランカーとあたる。緊張で全身の震えが止まらない。しかし、自分の作戦には自信があったので、(何かを)信じて闘うことにする。

 

相手は中二に強ショと判断。これなら作戦通り距離を開ければ安全と見切る。相手の垂直ミサイルも、STOと安定したデコイ捌きで無力化に成功。ただ、こちらはあまり垂直ミサイルの回避に慣れていない。回避行動をとろうとするのに、上空から飛んでくるミサイルを視認しなければならず、その間は前方に対する注意の払い方が少しだけ薄くなってしまう。そのスキをねらった「OB→強ショ→ブレード」という連携が十分考えられたので、そのあたりも警戒。

試合展開は最初から完全にこちらのものだった。1分を過ぎたかころから、相手の行動にあせりが見え始めてきた。こうなったらこっちのものである。ひたすら心を落ち着かせ、実スナによる迎撃を正確に行い、AP勝ちに持ち込んだ。

 

 

3回戦 ゆびわ氏(バズーカ 後不明)

 

相手のAPはかなり低かったので、おそらく軽量級かと思いきや、なんだか動きが鈍く、しかもバズーカ装備という機体。

問題なく勝利。

 

 

4回戦 ラプター氏(骨 重EO 強ショ 投擲)

 

自分は最初、廃工場ではなく地下工場だと勘違いをしていた。地下工場ならグレタンで暴れようかと思ったのだが、当日、会場にて廃工場だと気づく。フロムさん、紛らわしいのでもうちょっと区別しやすい名前にしてよ(涙)。

というわけで、直前になって迷った。確かに廃工場でもグレタンは有効なアセンだ。だが、廃工場なら今まで使用してきた実スナ迎撃機も使用可能だ。今思えばグレタンのほうにしておけばよかったとは思うのだが(当時はまだノーマルグレの暴力的な火力をあまり高く評価してなかった)、今大会の実績を踏まえ、やはり実スナ迎撃機で出撃することにした。

 

相手フレームは軽2と判断。そのくせ重EOがついている。E兵器の使用にかなり焦ったものの、廃工場のような長くて平坦なステージでは、いくら軽2のラプター氏であろうともOBがなければ「的」である。ラプター氏の怖さはシャープなOBから展開されるテンポのよい空中戦にあるのだが、地形、アセンともにそれが生かせられないだろう。要するに、いつものラプター氏らしくない、ということだ。

 

中央の通路を挟み、敵が迫ってきたら「迎撃→OB離脱」を繰り返す。柱も積極的に利用し回避。少しずつだが被弾しながらも、確実にこちらのペースで試合を運ぶことが出来た。自分の中で「勝てる」という確信が生まれてくる。これさえ勝てればベスト4だ。準決勝も一試合のみだから、その一戦だけ勝てれば韓国に行ける・・・自分の緊張度、集中度、そういったものが最高潮にまで達する。

 

中盤、こちらE切れという致命的なミスを犯す。一瞬、わが身に起きたことが信じられなかった。当然旋回能力の勝っている相手は張り付いてきて強ショ投擲をコレでもかと叩き込んでくる。ようやくE切れから復帰した時点ではまだAPに勝っていたものの、すぐに逆転される。希望の光が閉ざされ、目の前が真っ暗になる。自分の中で描いていた期待が音を立てて崩れ去っていくようだった。

 

こうなると、まるっきり立場が逆になる。いままで自分は柱を利用しながらの回避をしていたのだが、今度は相手が柱を利用して回避してくる。一発でもいいから実スナ入ってくれと、フェイントを混ぜつつOBで射線を通そうとするのだが、ことごとく防がれる。その隙にさらにEO被弾。残弾数を考慮すると、もはや取り返しがつかない差が生じてしまい、そのままタイムアウトとなる。

 

今まで闘ってきて、一番悔しい闘いだった。

 

 

 

 

 

追記

 

地形、アセンの利は完全にこちらにあったと自負しているが、それをひっくり返したラプター氏の実力は確かなものだった(しかも相手はラグ下)。

その後ラプター氏は決勝でいもり氏と戦う。このときの試合は今まで見たこと無いようなハイレベルなもので、見学していて背筋がゾクゾクしたのを覚えている。

自分の記憶の中に今でもとどまっている、最高の名勝負でした。

 

 

 

追記2

 

後日、内藤氏のHPに自分とラプター氏の試合が「名勝負」として揚げられていた。そういっていただけると光栄です。

有り難うございました。